



2025年12月4日
日本人の死亡原因第2位である心臓病。実は歯科とも深く関わっていることをご存じでしょうか?
口腔ケアが不十分だと、心筋梗塞などの重い病気にかかりやすくなることが研究で明らかになっています。
そこで今回は、あまり知られていない「お口と心臓の関係」について、わかりやすく解説していきます。
「歯周病」と聞くと、お口だけの問題と思われるかもしれません。
ところが近年、世界中の研究で歯周病が全身のさまざまな病気と関係していることが次々と報告されています。
心臓病もそのひとつで、国内の調査では、歯周病の疑いが強い人はそうでない人に比べて心筋梗塞の発症率が約2倍になるというデータもあります。
これまで心臓病の危険因子といえば「高血圧」「肥満」「喫煙」などが中心でしたが、今では「歯周病」も見逃せないリスク要因として注目されています。

一見すると無関係に思えるこの2つの病気。
これらの関係性について、実は次のようなメカニズムが考えられています。
1つは、歯周病菌が血流に乗って心臓へ届くという説です。
歯周病菌が血管に炎症を起こすことで心臓の血管の壁が厚くなり、動脈硬化を進行させることで狭心症や心筋梗塞を引き起こします。
実際に、動脈硬化を起こした患者さんの心臓の血管から歯周病菌が検出されたという研究報告もあります。
もう1つは、歯ぐきの炎症そのものが全身に悪影響を及ぼすという説です。
歯周病で腫れた歯ぐきからは炎症に関連したさまざまな物質が放出されています。
これらの物質が心臓に運ばれると、血管などに悪影響を与えるということがわかっています。
どちらの説も「歯周病が心臓病のリスクを高める可能性がある」ことを示しています。

生活習慣病予防といえば「食事」「運動」「禁煙」「睡眠」が定番ですが、ここに「口腔ケア」を加えることがとても大切です。
定期的な歯科検診、毎日の丁寧な歯磨き、歯ぐきの健康チェック。これらを習慣にすることで、心臓病をはじめとする生活習慣病のリスクを減らすことにつながります。

お口の健康は、全身の健康と直結しています。
「歯周病は心臓病のリスク要因になる」――この事実を知っているかどうかで、未来の健康は大きく変わります。
ぜひ健康診断だけでなく、歯科での定期検診も忘れずに。
今日から「口腔ケア」を生活習慣病予防の一歩として取り入れてみませんか?