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歯のコラム

2025年7月10日

万が一、思いがけない事故や怪我で歯が抜けてしまった場合、どうすれば良いかご存知ですか?
そのときの対処を誤ってしまうと、元に戻せるものも戻せなくなってしまうかもしれません。
そこで今回は、歯が抜けてしまったときの注意点と正しい対処法についてご紹介します。

抜けた歯を元に戻すカギは歯根膜

抜けた歯を元に戻せるかどうかは、「歯根膜」の状態にかかっています。
歯根膜とは、歯の根っこを薄く覆う約0.3mmの膜で、以前に投稿した歯のコラム「歯ごたえを感じている場所とその役割」でもご紹介しました。
歯根膜は歯を支える歯槽骨と歯の根っこを結びつけており、また、食べものを噛んだり、歯に強い力が加わったりしたときの衝撃を和らげるクッションの役割も果たしています。

歯の構造

万が一、事故や怪我で歯が抜けてしまったとしても、歯根膜が無事であれば、抜けた歯を元の位置に戻せる可能性は高くなります。
しかし、歯根膜は非常にデリケートなため、扱い方を間違えると歯を元に戻すのが難しくなってしまいます。

抜けた歯の扱いは要注意

事故や怪我で歯が抜けてしまったとき、突然のことで冷静さを失ってしまうかもしれませんが、そのときに注意したいのが、抜けた歯の持ち方と、汚れた場合の汚れの取り方です。

抜けた歯の持ち方

まず、抜けた歯を持つときは根っこには絶対触れないこと。必ず歯の頭(歯冠部分)を持つようにしてください。
歯の根っこにはデリケートな歯根膜がついているため、そこを素手で触ってしまうと、歯根膜が傷ついてしまう恐れがあります。

抜けた歯についた汚れの取り方

また、抜けた歯を地面などに落として汚してしまった場合、ついキレイにしようとゴシゴシこすりたくなるかもしれませんが、絶対にやらないでください。
むやみにこすったり、石鹸や消毒液で入念に洗ったりすると、せっかく残っている歯根膜まで取れてしまいます。
抜けた歯を洗うときは、歯の頭を持ち、流水で10~20秒以内にサッと洗い流すようにすることです。

抜けた歯の取り扱い

抜けた歯を元に戻すことは時間との闘い

さらに、歯根膜は乾燥に非常に弱く、わずか20分も経たないうちに歯根膜の生存率が大きく低下するといわれています。
そのため、抜けた歯を元に戻すためには、1秒でも早く歯医者を受診しなければなりません。
とはいえ、誰もがすぐに歯医者へ行ける状況であるとは限りません。
そんなときにやってほしいのは「歯根膜の延命」です。

最善の方法は、抜けた歯を「専用の保存液」に浸けておくことです。
これにより歯根膜を約24時間延命できる可能性があるのですが、場所によっては入手できない場合があり、あまり現実的とはいえません。
そこでおすすめなのが、入手が比較的容易な「牛乳」や「生理食塩水」を専用の保存液の代わりに使用することです。
牛乳なら約6時間、生理食塩水では約1時間、歯根膜を延命できる可能性があります。

歯根膜を延命できるアイテム

おわりに

抜けた歯を元に戻すためには、まず歯根膜をきれいな状態で傷つけずに正しく保存すること、そしてできるだけ早く受診することが決め手です。
もしものときのために、これらのポイントを覚えておけば、抜けた歯を元に戻せる確率は高くなります。
事故や怪我のリスクは日常生活の中に潜んでいますが、正しい知識と対処法でいざという時に慌てず冷静に行動できるよう備えておきましょう。

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