

2025年8月7日
インプラント治療の成功基準は、審美的(見た目が良い)で機能的(咬み合わせ、発音に支障がない)な人工歯がインプラントに無理なく連結されていることです。
天然歯に例えると、人工歯は歯冠(歯肉から上に見える歯の頭の部分)、インプラントは歯根(歯肉の下に隠れた歯の根の部分)に相当します。
つまり、インプラントの位置がとても大切で、間違った位置に埋め込まれた場合には様々な不具合が生じ、しかも簡単にはリセットすることはできません。
このことは、住宅建築の基礎工事に例えると分かりやすいと思います。
これまでのインプラント治療では、計画通りの位置にインプラントを埋め込むことは神業という認識で、当初の計画からずれてしまった位置のインプラントに、苦労して人工歯を連結することは珍しくありませんでした。
位置がずれる一番の原因は、位置決めの正確なガイド(指標)を製作する加工技術が普及していなかったからで、手術の現場でずれ幅を小さくすることが術者の腕の見せ所でした。
近年のデジタル技術の目覚ましい進歩により、コンピュータで埋め込む位置をシミュレーションし、当初の計画どおりの位置に正確にインプラントを埋め込むことが可能となりました。
最大の功績は、精密な3Dプリンターと手術用ガイドに適した材料の開発です。
一般工業界のみならず、歯科業界でも最新鋭の機種が普及しつつあります。
当院では3Dプリンターをいち早く導入し、専門業者への外部発注ではなく、当院の術者の考えが細部まで反映された手術用ガイドを院内で製作し、消毒・滅菌のうえインプラント手術を行っています。
今回、左下の奥歯2本を失った患者様が、取り外し式の義歯ではなく固定式のインプラントを希望されて来院されました。
初めてのインプラント手術に対して様々な不安を訴えられましたが、その中の一つに手術時間に対する心配がありました。
手術ガイドのメリットには「インプラント手術の正確性」に加えて「手術時間の大幅な短縮」があります。
手術後の患者様の第一声は「思っていたより早く手術が終わってホッとした」でした。
術後に撮影したX線写真をご覧いただくと、2本のインプラントがきちんと並んで埋め込まれていることに感激されていました。
今後も最新の治療技術を積極的に導入し、治療成績の向上と患者様の安心につなげていきたいと考えています。
お口のトラブルやお悩みなどがありましたらお気軽にご相談ください。