

2025年5月1日
むし歯ができたときに感じるズキズキとした痛みは、むし歯菌が歯の内側にある「歯髄(しずい)」にまで手を伸ばしているサインです。
歯髄には「神経」や「血管」などが通っていますが、むし歯が進行して歯髄まで及んでしまうと、細菌によって神経が侵されてしまうため、血管含め歯髄全体を取り除かなければならなくなってしまいます。
神経を抜くと、痛みを感じなくなります。
痛みがなくなることは一見安心材料に思えますが、実は大きな代償を払うことになります。
歯髄を通る血管には「歯に栄養を運ぶ」という非常に重要な役割があります。
神経を取り除くということは歯髄を通る血管も取り除くことになりますので、歯に栄養が行き渡らなくなり、歯自体が弱くなってしまいます。
その結果、欠けたりひびが入ったりして、歯の寿命が短くなる可能性があるのです。
一度歯髄を取る治療を経験すると、次にむし歯になった時に、小さなむし歯でも歯髄を取って済ませたいと思ってしまうかもしれませんが、長期的には大きなリスクとなることを忘れないでください。
神経を抜いてしまえば痛みを感じなくなりますが、それはむし歯の進行に気づきにくい状況を作り出していることに他なりません。
症状に気づかずむし歯が進行してしまうと、気づいたときには歯がボロボロになってしまっていた、ということも珍しくありません。
以上を踏まえ、健康で丈夫な歯を維持し、一生豊かな食生活を送るためには、やはり神経を残すことは必要不可欠です。
もちろん、どうしても我慢できない激しい痛みや、重度のむし歯の場合は、神経を抜く治療が必要になることもあります。
しかし、そうなった歯はむし歯の進行に気づきにくくなるので、定期検診でこまめにチェックを受けることが大切です。
また、定期検診では痛みや違和感があまりない初期のむし歯を発見することもできるため、神経を取らずに治療できる可能性が高くなります。
他にも、気づかないうちに進行してしまう歯周病など、定期検診はそうした「隠れた病気」をいち早く発見するための絶好の機会ですので、ぜひ習慣づけておきましょう。