



2025年10月30日
「高血圧」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは食生活の乱れや運動不足。
でも実はお口の健康とも密接に関わっていることをご存じでしょうか?
今回は、高血圧と歯科の意外なつながりについてご紹介します。
高血圧自体が直接お口の環境を悪化させることは少ないですが、血圧を下げる薬(降圧剤)の副作用が、お口に次のような変化をもたらすことがあります。

アダラート、ノルバスクなどのカルシウム拮抗薬は、高血圧治療でよく処方されますが、副作用として歯ぐきの腫れ(歯肉増殖)を引き起こすことがあります。
腫れが大きくなると歯ブラシが届きにくく、プラークが残りやすくなるほか、見た目や発音にも影響し、生活の質(QOL)を下げてしまうことも。
降圧剤の副作用で代表的なのが口の渇き(ドライマウス)。
カルシウム拮抗薬に加え、フルイトランやラシックスなどの利尿薬でも起こることがあります。
唾液が減ると、お口の自浄作用や歯の再石灰化が働きにくくなり、むし歯・歯周病・口臭のリスクが一気に高まります。
最新の研究では、歯の本数が少ない、または噛む力が弱い人は、高血圧になりやすいことが明らかになっています。
あるデータでは、奥歯で噛めない人は高血圧リスクが約1.7倍にもなるそうです。
その理由のひとつが食べ物の選り好み。
奥歯で噛めなくなると、繊維質の多い果物や緑黄色野菜を避けがちになります。
しかし、これらには血圧の安定に欠かせないカリウムが豊富に含まれていますので、摂取量が減るとカリウムが不足し血圧が上がりやすくなってしまいます。

このような現象は特に高齢者に多く見られるため、若いうちからお口の健康を守ることが大切です。
健康的な毎日を送るためには、食生活や運動習慣の改善に加え、お口の健康維持も欠かせません。
その中でも、歯科での定期検診は、高血圧の予防・管理において次の2つの効果があります。

高血圧とお口の健康は、一見関係なさそうで実は深くつながっています。
自宅での正しい歯みがきやバランスの取れた食事に加え、歯科での専門的なチェックを習慣にすることで、お口も全身も健康に保ちやすくなります。
今日からぜひ、「血圧ケア」と「お口ケア」をセットで考えてみませんか。