

2025年6月19日
歯科治療を途中で中断してしまうと、大きなリスクを抱えることになります。
具体的には、「治療期間が延びる」、「歯の寿命が短くなる」、「治療費が高くなる」という3つのリスクです。
今回は、歯科治療を中断した時のこれらのリスクについて、その詳細をご紹介します。
むし歯の治療では、「仮詰め」や「仮歯をつける」といった処置を行う場合があります。
仮詰めや仮歯はその名のとおり仮のもので、最終的な詰め物や被せ物ができるまでの間に患部を一時的に塞いでおくためのものです。
取り外しがしやすいように歯科専用の弱い接着剤を使って装着しているため外れやすく、材質は強度が高くないので割れたり欠けたりするリスクもあり、すき間が生じやすくなっています。
仮詰めや仮歯の段階で「痛みがなくなったから」という理由で通院を止めて放置してしまうと、そのすき間に細菌がたまることでむし歯が再発したり、治療前より悪化したりすることもあり、その結果、むし歯を取り除く治療からやり直さなければならないことがあります。
また、型取りが終わった後の中断も要注意です。
あまりにも長く放置してしまうと、最初に採った型と実際の歯の状態との間にズレが生じ、詰め物や被せ物が合わなくなることがあります。
そうなってしまうと、型取りからやり直し、詰め物や被せ物も作り直さなければならない場合もあるため、無駄に治療期間が延びてしまいます。
歯科治療を途中で中断すると、歯そのものの寿命にも大きな影響が出ます。
前述のとおり、仮歯や仮詰めをした場所は細菌がたまりやすい環境となっており、治療を中断して放置すると新たなむし歯ができてしまいます。
そして、むし歯が神経にまで達してしまうと、細菌によって神経が侵されてしまうため、神経を抜かなければなりません。
以前の歯のコラムでご紹介しましたが、神経(歯髄)には「歯に栄養を運ぶ」という重要な役割があるため、神経を抜くと歯に栄養が行き渡らなくなり、歯の寿命は短くなってしまいます。
また、その神経を抜いた後などに行う「歯の根の治療」の中断も要注意です。
むし歯になりやすいだけでなく、すでに弱っている歯の根が割れたりヒビが入ったりして、
最終的に抜歯せざるを得なくなることが多いため、歯の根の治療は絶対に中断しないようにしましょう。
そして、歯周病治療の中断にも同様のリスクがあります。
歯周病は、進行すると歯を支えている骨を溶かしてしまう恐ろしい病気です。
その原因である歯周病菌は、歯石を住み家としていますので、歯周病の進行を食い止めるためには歯石の除去を行わなければなりません。
しかし、歯周病の治療を中断してしまうと、歯石に潜む何百億という細菌が増殖しながら歯を支える骨を溶かし続け、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
前述のリスクからもわかるように、治療を途中で中断すると、治療のやり直しや症状のさらなる悪化が生じ、結果として余計な時間と費用がかかってしまいます。
治療を中断せずに最後までしっかりと通院を続けることで、健康な歯を保つことはもちろん、経済的にも無駄な出費を抑えることができるのです。
むし歯や歯周病といったお口のトラブルは、放っておいても自然に治るものではなく、そのままにしておくと、どんどん悪化していってしまいます。
そのため、私たちが治療の終了をお伝えするまで、欠かさずに通院を続けてください。
しかし、急用などでどうしても通院できなくなってしまう場合もあるかと思いますので、そのような場合は必ずご相談ください。
皆さんの大切な歯を残すため、私たちが全力でサポートします!