



2026年2月11日
今回は副鼻腔炎(上顎洞炎)のお話です。
副鼻腔炎という病名も最近では一般的になってきましたが、古くから使用されている蓄膿症という俗名の方が分かりやすいかも知れません。
読んで字のごとく「蓄膿」とは、副鼻腔という空洞に膿が蓄えられた状態で、慢性の副鼻腔炎を指すことがほとんどです。

上顎には、副鼻腔として上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞の4つの空洞が存在し、鼻(鼻腔)を介してお互いに交通していますが、最も歯に近くて最も大きな空洞が上顎洞です。

副鼻腔炎の原因の一番は風邪ですが、その他にも花粉症やダニ、カビなどのアレルギー症状や、大気汚染やストレス、あるいは血液中の白血球の成分である好酸球の異常によって起こる難治性の副鼻腔炎も最近では増加傾向にあります。

いずれの場合も、副鼻腔の粘膜が炎症によって腫脹(厚くなる)した結果、迷路のようになった副鼻腔内の通路の狭い部分が塞がり、換気(副鼻腔内への空気の出入り)が滞ることによって増悪します。
そのため、鼻中隔湾曲症(薄い骨と軟骨でできた鼻の壁が左右どちらかに曲がった状態)がひどい場合には、空気の通路が狭くなった側の症状が強くなります。

これに対して、歯が原因(進行した虫歯や歯周病)で上顎洞炎(歯性上顎洞炎)になることも決して珍しくありません。
それは、上顎の奥歯の歯根の尖端は上顎洞に近接していることが多いため、歯の中や周囲の細菌が薄くなった骨を通じて上顎洞に達してしまうからです。
また、歯が原因の場合は、左右どちらかの側の上顎洞に炎症が起こっていることが特徴的です。

診断としては、通常の歯科用エックス線撮影で分かる場合もありますが、一般的にはCT撮影により確定診断を行います。
CTが普及する以前には、上顎の奥歯を抜歯した際に、抜歯した穴から膿が溢れ出て初めて上顎洞炎に気付くこともあったようです。

今回、左上の奥歯の違和感と鼻閉感(鼻声)を訴えられた患者様に対してCT撮影を行いました。

重度の歯周病になった左上奥歯の周囲の骨は大きく吸収し、左側の上顎洞には膿が溜まった状態でした。
右側の上顎洞の状態(正常な場合は空洞内全体が黒く写る)に比べて左側は白く濁っていましたが、左側の上顎洞の空気の通り道は細いながらも通じており、鼻が原因ではなく歯が原因の上顎洞炎であると診断しました。
原因の歯は残念ながら抜歯となりましたが、原因の歯を抜歯したことで上顎洞炎の症状は完全に消失し、抜歯した部位の骨も部分的に回復しました。

今後は、患者様のご希望を尊重し、抜歯した部位および上顎洞内への骨誘導を行うことで、同部位にインプラント治療を計画しています。
当院では先進機器を導入し、全体を俯瞰した包括的な治療を心がけております。
どんな歯の悩みにも最善を尽くしてご対応いたしますので、お悩みがありましたらお気軽にご相談ください。